第5章 本心と本音
『なんか、こういう所久々に来た気がするー。』
ビルの中のスポーツ店。
店を丸々1軒使ってる所に比べると小さいと思うけど、駅前のショッピングモール事あってら品揃えもしっかりしてる気がする。
「そっか、夜海もバレーや出てたんだもんな。」
『うん。怪我で出来なくなっちゃたけどね。』
「ごめん、なんか辛かったこと思い出しちゃった?」
『ううん、もう吹っ切れたし、大丈夫!』
また、気を使わせてしまったと思って首を振って笑った。
一静もそれを見て安心した様だった。
少し眺めながらシューズを探し、ちょうど良くいいのが見つかって買うことになったから、レジに向かおうのした時だった。
角を曲がった先から貴大が現れた。
「あれ、偶然じゃん。」
「そーだな。」
「俺達はこれから会計なんだけど、そっちは終わったみたいだな。」
「まぁーな。」
そう、貴大と一静が話してる間、私はどんな顔をしていいればと考えながら、もし、貴大が話しかけてきたらと不安になっていた。
それから、少し話に区切りがついたのか、
「じゃ、俺そろそろ帰るわ。」
と、貴大が言って店を出ようとした。
「また部活でな。」
「あぁ。」
ふたりの会話はほとんど頭に入ってない。
貴大が帰る後ろ姿を見てを追いかけたとは思わなかった。
今、私には一静がいるのだから。