第3章 雨
※夜海
貴大が帰ってから少しだけ涙が出た。
貴大がなんて言おうとしたか想像はついた。嬉しくないわけない。けど、今更それを言われてもどうしよもない…。
そして、これで良かったんだと思うようにした。
貴大が優しくするのはもう私じゃだめなんだって…。
それから少し落ち着いた頃、またスマホが鳴った。
由紀かと思った相手は松川だった。
何故だか声が聞きたくなって私は電話に出た。
『はい。』
〈あ、夜海?石川から聞きたんだけど、風邪大丈夫か?〉
『うん、ごめんね心配かけて。』
〈気にすんな。それより早く元気になれよ?〉
『ありがと。』
何気ない松川の声がホッとした。
〈…もしかしてなんかあった?〉
『え?』
〈なんか元気無いって声だから。…風邪だけが理由じゃないだろ?〉
松川はあっさり、私の心境に気づかれ、びっくりした。
『なんでわかるのかなー。
……さっきさ、貴大が来たの。プリント渡しに……。けど私ちょっと強く言っちゃってさ、貴大を傷つけちゃったかもしれないんだ。心配して来てくれたのに最低だよね。
…って、こんなこと松川も聞きたくないよねゴメン。』
〈俺のとこは気にしなくていいって。〉
私が謝ると、松川は優しくそう言った。
『…あは、松川は優しいね。』
〈そう?〉
『うん、なんか話したら気持ちが楽になった。』
〈そりゃ良かった。…てあんまり長電話すると、悪化するよな。明日学校来れそう?〉
『んーどうだろう熱下がったら行くかも。』
〈そっか、でも無理はするなよ?〉
『うん。』
〈じゃあまた。〉
『うん、また。』
電話が切れて、私は横になり、薬が効いたのが眠りについたり。