第3章 雨
それからどれくらい寝ていただろう。
喉が乾き目を覚ました。
ベッドの横に置いといた、ペットボトルの水を飲んでいると、家のインターホンが鳴った。
出るか迷ったけど、起きたのもあって階段を降りて玄関のドアを開けた。
『はい………え?…な…んで?』
そこに立っていたのは貴大だった。
「よ。大丈夫……でもなさそうだな。」
私の顔を見るなり貴大は心配そうな顔をした。
『それより、なんで来てるのよ?部活は?』
「言い方ひどいな…。担任にプリント渡すように頼まれて届けきたんだよ。部活も風邪人増えてついに休みになったしさ。」
私が強く言っても貴大は全く怒る気配がなく、けど、それが余計私を苦しめた。
『そうなんだ。ありがとう…じゃあ…。』
早く、貴大から離れたくてドアを閉めようとしたら、それを阻止された。
「ちょ、待てよ。お前、フラフラじゃねーか、ちゃんと薬飲んでるか?家の人は?」
『今、誰もいないの…。っていうか、何なの?貴大には関係ないじゃんっ……!っゴホッ…!』
貴大が心配してくれてるのが嫌な訳では無いけど、今はその優しさを向けないでほしい……。
それで、つい声を上げたら、喉に響いて座り込むように、咳き込んでしまった。
「お、おい大丈夫か?!」
貴大が私の背中を擦ろうとしたけど、私はその手を叩いた。
『触んないでっ!ずっと私のこと避けてたくせに今さらかまわないで。……私なんかほっといてよっ…!!』
私はそこから力尽きたように意識を失った。
ただ…
「……さすがに、目の前で倒れてる女子ほって帰れないだろ。」
そのセリフだけか聞こえた気がした。