第3章 雨
その後、部活を終えて帰ろうとすると、下駄箱の中に紙袋が入っていた。
中身は前に夜海に貸した俺のパーカーだった。
そして、夜海の下駄箱に上履きがあるのを見て確信した。
「やっぱり、あいつ………。」
さっき走って帰っていったのが夜海だと…。
俺に彼女が出来たからっていつまでも俺の物を持っているわけにはいかないからって、黙って返して帰っていったのだ。
しかし、あの雨の中帰ったって風邪引くんじゃないか?
ただでさえ寒いっていうのに。
「なぁ……。花巻。」
そんなことを考えていると、昇降口先で松川に呼ばれた。
「ん?」
「お前、何がしたいの?」
「は?」
一瞬、俺は松川が何言ったを言っているのかわからなかった。
「他校の女子と付き合って、それなのに夜海に未練がある雰囲気だしてさ。夜海が今どんな気持ちでいるかわかってる?」
「別に……俺は。」
しかし事実を言われて、俺は反論出来なかった。
自分でも何がしたいのかわからないからだ。
「まぁ、別に花巻がどうしたいかは知らないけどさ、
このままだと、俺が夜海とこ貰っちゃうよ?」
「っ…!」
松川は少しニッと笑って傘をさして先に学校を出て行った。
このままじゃ、夜海が松川に取られる…?
そんなこと思ってもみなかった…。
俺は、急に焦りや不安を感じた。