第3章 雨
※花巻
部活の準備をしている時、体育館に通じる廊下のガラス扉から大雨の中夜海が走って行くのが見えた気がして足を止めた。
「あ?どうした花巻?」
「あ、いや。」
「なーに、雨見て、たそがれてんのマッキー?」
それに気づいた岩泉と及川が聞いてきた。
岩泉はともかく、及川の言い方に少々のイラつきを感じた。
「誰もたそがれてねーよ!……ただ、夜海が傘もささずに走っていくのが見えた気がして。」
そう言ってまた外を見る。
「夜海がか?」
「見間違いじゃないの?この雨だよ?」
「そう……だな。」
2人の言っていることは確かに正しい。
こんな雨の中傘なしで帰るなんて無謀過ぎる。
けど、何年も一緒にいた夜海を見間違えるわけないって思う自分がいた。
「ほら、とっととコート立てるぞ!」
「あぁ。」
俺は外が気になりながらも、部活の準備をしようとする。
「……。」
ふと気付くと、松川が俺のとこを見ていた。
「なに?どうした?」
「いや、別に。」
聞いてみたものの松川はそう言って体育館に入って行った。
「?」