第3章 雨
そう思った日の放課後だった。
たまたま部活が休みになったのだが、朝はあんなに晴れていた空が、今や土砂降り。
今日に限って傘は持ってきてはいない。
置き傘や折りたたみ傘を持っていそうな由紀は担任に呼び出された。数学の成績が悪いから早めにテスト勉強を兼ねて補習をするらしい。あれは、かなりかかる。
あいにく、置き傘もしてない。なにか羽織るものがあればとカバンやロッカーの中を探していると、だいぶ前に貴大に借りた厚手のパーカーが出できた。
「バカだな私。…なんでいつまで借りているのよ…。」
これを着れば、フードも付いてるし少しはマシかもしれない。
けれど、今の私にそれ着て帰ることは出来なかった。
私はそのパーカーを紙袋に入れて、貴大の下駄箱の中にしまい、雨が降っている中走って帰った。
髪も、制服も、靴も靴下も全部濡れても気にせずに走った。
どうせなら、このモヤモヤと重い気持ちも洗い流してくれればいいのにーー。