第3章 雨
「あ、いたいた!夜海ちゃーん!」
その声に振り向くと、美味しそうにが手を振ってやって来た。
『ん?なんだ、及川じゃん、どうしたの?』
「なんだとはひどいな…。」
普通の女子なら学校一モテる及川に声をかけられたら、胸が高なるほど嬉しいのかもしれないだろうけど。
良く話したりする事が多い私にはそういう感情はない。
別に嫌いって訳ではなく、むしろいい奴だし。
『いやーつい。で、用事は?』
こうして、私がバレー部の皆と仲良くなれたのも貴大のおかげなんだよね。
「そうそう、マッキー知らない?今日の部活のことで話しがあったんだけど見当たらなくて。」
及川はキョロキョロと辺りを見渡しながら私に聞く。
『いや、知らないけど。』
「そっか。夜海ちゃんならマッキーの居場所知ってると思ったのにな。……そう言えば、最近一緒にいないね、何かあったの?」
その言葉が胸に刺さる。
私はそんな風に思われるほど一緒にいたのに、今は違う。
周りが気付くほど私と貴大の関係は不自然すぎる。
『別に。ただ、貴大は彼女出来たから気を使ってるんじゃない?』
「え?!マッキー彼女出来たの?!!」
『うん、知らなかったんだ。』
及川は凄く驚いていた。
とっくに話してるのかと思っていたのに。