第3章 雨
『もう、なんでバレンタインなんでイベントあるかな…。』
食事を終え、食堂のテーブルに突っ伏して言うと。
「なにー?本命を花巻に渡すか松川に渡すか迷ってんの?」
って由紀が言ってきた。
『いやいや、さすがに彼女いるってわかってるのに本命チョコ渡せないよ。』
「そーかな?伝えるのは自由だと思うんけど?
まだ、ちゃんと花巻に好きだって言ってないんでしょ?」
『そ、そーだど。』
「じゃあ、松川は?
頭いいし、優しそうだし、しっかりしてるし!
夜海とこ大切にしてくれるって言ってたんでしょ?
試しにチョコ渡して付き合ってみたら?」
思いつたように話す由紀。
素で言っているんだろうけど…。
『えー、そんな軽く言わないでよ。』
「私にしては夜海が慎重すぎだと思うけどなー。
合わなかったら別れれば良いし。
まぁ、ずっと花巻くんしか見てなかった夜海としては複雑かもしれないけどさ。」
『……はぁ、本当どうしよー。もう、バレンタイン自体スルーしようかな。』
由紀の言い分もわかるけど、めんどくなった私がそう言うと。
「えっ!それじゃ私にもチョコ来ないじゃんー!私毎年夜海のバレンタインチョコ楽しみにしてるんだからー。」
ブーと頬を膨らませて駄々をこねる。
『……由紀…あんたって子は……。』
自分は本命なんていなくて買いチョコで済ませといて、私のチョコ目的ですか?
呆れて、いるとそこに1人の男子生徒がやって来た。