第2章 待っているだけじゃ始まらない恋
やって来たのは人気のあるドーナツ屋。
そこの期間限定のドーナツが食べたいというレミちゃんのリクエストがあったからだ。
「もう、最高嬉しいっ!貴大くんと、食べたかったドーナツ一緒に食べられて♡」
「そう?ならよかった。」
美味しそうにドーナツを食べてニコニコ笑う姿はまるで小動物のよう見えた。
「本当は…フラれるんじゃないかって思ってたの。」
「え?」
飲んでいたココアのマグカップをテーブルに置いてレミちゃんは静かに話し出した。
「だって青城のバレー部って皆凄いでしょ?他校の女子からも人気あるしから確率低くてさ。
…それに、貴大くんの傍にいつも、夜海さん居たからさ、私の入る隙なんてないと思ってた。」
「……なんで、夜海の名前知って…。」
他校生が夜海のこと知ってるなんて驚いた。
「青城に中学の友達がいて、その子に聞いたの。幼馴染みなんでしょ?…いっつも一緒にいて仲良さそうで、付き合ってるのかと思ってた。」
「…そんなこと…ねーよ。」
そうだよ。あいつとはただの幼馴染みで、俺はもう夜海に告る資格もない。
「……じゃあさ、ちょっとわがまま言っていい?」
「なに?」
「これからはあんまり、夜海さんと仲良くしないでほしいの。」
「え?」
正直、戸惑った。…けど。
「子供っぽいこと言ってるのはわかってる。けど…学校が違くても、他の女子と仲良くしてると思うとなんか嫌なの……。
どうしても話さないと行けない時は良いけど、その他は…。」
「そ……っか。そうだよな。
わかった。極力そうするよ。」
不安そうな彼女の姿を見ると、断れなくなった。
まぁ、確かに普通はいやだよな。
「本当ー?ありがとう♡やっぱり貴大くん優しいー!」
レミちゃんは嬉しそうに俺の腕に抱きついた。