第2章 待っているだけじゃ始まらない恋
「あれ?夜海じゃん?今帰り?」
昇降口で自分の下駄箱からローファーを取ろうしたら、そう呼ばれて振り向くと、声の主は松川だった。
どうして、こうも会うと気まずい人に出くわすんだろう。
『松川…。うん、バレー部も体調不良多いから早く終わったんでしょ?貴大から聞きた。』
「そうなんだよ、本当気を付けないとな。……あれ?そういや、石川は?一緒じゃねーの?」
『由紀は今日用あるから先帰ったよ。』
「へーそうなんだ。じゃあ一緒に帰る?」
『えっ?』
いきなりの誘いにビクッと肩が跳ねる。
「いや、先約あるならいいけど。5時でもこの時期は暗いし女子1人は危ねーだろ?途中まで送るよ。」
『先約はないかな……じゃあお願いしちゃおうかな
…。』
断る理由は特に無いし、告白されて気まずけど松川の事を嫌いになったわけじゃないから頼むことにした。
「おう、どっか寄ってく?」
『んー、あ、本屋行きたいかも。』
「じゃあ駅前の本屋行くか。」
そう言って松川は私の横を歩いてくれた。
歩きながら思う、さっきまで貴大の事でモヤモヤして辛い気持ちになっていたのに、今は少し和らいだ。
どうしていつもわたしが辛い時にそばにいてくれるんだろう。
私の事が好きだから?
だとしてもタイミング良すぎるよ。