第2章 待っているだけじゃ始まらない恋
※夜海
翌朝、玄関を出てすぐに貴大に会ってしまった。
『あ…おはよ。』
「お、おう。」
気まずいながらも挨拶をするとちゃんと返してくれるのに少しホッとする。
けど……。
『そのマフラー似合ってる。良かったね!』
貴大は昨日見せた彼女さんからのマフラーを身につけていた。
正直に言うと、見たくなかった。
それでも何か会話をしなくちゃと思ってそう言った。
「今日帰りに会う約束したからさ、付けて来ないとかわいそうだろ。」
貴大は嬉しそうに言う。
こんな風に思われてるなんて彼女さんは本当幸せなんだろと思った。
『そうだね!貴大にそんな風に思われてるなんて、本当彼女さん幸せだね!』
また、必死に作り笑いをして言うと貴大はニッと笑った。
今までその笑顔は私に送られていたものだったけど、今は違う。わかっていたけど寂しさが増した。
「夜海おはよ!」
教室のドアを開けると由紀が手を振って言う。
『おはよ、由紀。』
「どうしたの?なんか元気ないみたい…。」
由紀はすぐに私の異変に気づいて心配そうに駆けつけてくれた。
『いや、そんなことないよ!大丈夫大丈夫!』
「全然そんな風には見えないけど。…何かあったなら話聞くよ?」
『うん、じゃあ……昼休みに話すよ。』
誤魔化してもバレるものはバレるらしく、私は心優しい親友に相談することにした。