第2章 待っているだけじゃ始まらない恋
「彼女が出来たんだ。」
『………え?』
言葉を失った。
今にも涙か流れそうなのを必死に堪えて、貴大に悟られないように笑って言う。
『マジで!?よかったじゃん!おめでとう!!』
「お、おう!他校に通う子なんだけどさー。よく試合とか応援に来て差し入れとかくれてて、そしたら昨日、練習帰りに会って、"付き合って欲しい"って明日誕生日だから手編みのマフラーまでくれたんだ。」
そう、嬉しそうに綺麗に編まれたマフラーは私に告白をする権利すら奪った気がした。
『そうなんだー!大事にしてあげなよ。』
「当たり前だろ!初めてできた彼女だしな!」
思ってもいない言葉が溢れる。
でもきっと貴大はそんなこと思っていもいないのだろう。
『じゃあ私そろそろ帰るね』
「え?話すことあったんじゃねーの?」
『あーえっと貴大の話が衝撃すぎて忘れちゃった!思い出したらLINEするよ!』
「そーか?じゃあまた明日な!」
『うん、また明日。』
そう言って私は部屋を出た。
ニッと笑う貴大の笑顔は大好きな顔のはずなのに、今は辛くて見るのも嫌になる。
明日……学校行きたくないな。
どんな顔して会えばいいのかわからない。
今みたいに必死に笑顔作っていけば自分かま虚しくて辛くなる。