第6章 春と新しい日々
※花巻
部活を終え、及川と岩泉と松川と、と言ういつものメンバーで
昇降口に向かうと途中にあるベンチに女子が2人座っていた。
歩いて行くと、それは夜海と由紀だった。
「おー石川。おつかれー。」
「あ、おつかれ〜!」
俺たちに気づいた由紀は立ち上がり言う。
夜海はその影になって顔がはっきり見れない。
ただ、様子がおかしいと思った。
「今、帰りか?」
「うん!そーだよ。というかバレー部が終わるの待ってたんだ。」
「え!俺と帰りたいから?」
「いや、それは無いから!」
「相変わらず、俺にだけ冷たいよね由紀ちゃんって。」
由紀の塩対応とか及川がしょげてるのはともかく、回り込んで夜海の前まで来て顔を見ようとしたら。
「よう、おつかれ…って夜海どうした?」
『うぅっ……うわーん貴大〜〜!!』
俯いている夜海が顔を上げると半泣き状態で俺のところに抱きついてきた。
「おい、夜海…。」
とりあえず、俺は夜海の落ち着くように背中をさすってやった。
「なんかあったのか?」
「あーいや……実は…。」
周りも心配し始めて、岩泉が聞くものの、夜海は自分で話せそうにもなく、由紀が代わりに答えた。