第6章 春と新しい日々
※松川
校舎へと入っていく夜海と石川。
夜海はまだ少し俺に気を使っているようだった。
あの日、夜海と別れたことには後悔していない。
ただ、ずっと好きだった夜海が運良く俺と付き合ってくれた。
けれど、夜海の中に俺はいないのを身をもって知り、やっぱり夜海には一番好きな奴といて欲しいと思った。
だから、自ら手を離した。
今は楽しそうにしてる夜海を見ればそれで良かったと思えた。
それでも、夜海のことが好きだったことは本当だったかは寂しく思えた。
それを救ってくれたのは別れた2日後の夜に来た、1本の電話だった。