第6章 春と新しい日々
それから、一緒に歩き出し、電車に乗って学校に向かった。
昇降口にはクラス表が張り出されていた。
毎年変わるクラス。
この日になるといつも不安になる。
特に今年は貴大の過ごす高校最後の1年間…。
せっかく付き合えたんだし、同じクラスがいいと。
『クラスの替え見えたー?』
「いや、まだ…。」
前に人がいるから私は背伸びをして、自分の名前を必死に探す。
少しずつ、前から人がいなくなって、ようやく時の名前が見えた。
『「あ、3組(だ)!!」』
お互い同時に言って相手のクラスを知り、ホッとする。
「また、一緒のクラスだな。」
『だねー本当、腐れ縁だね』
「おま、そういうこと言うなよー。」
内心は本当に嬉しかったけど、私は少しふざけて言ってみた。
少しの緊張から解放され、貴大と、笑っていると。
「ちょっとちょっと〜なーに朝からイチャついてんの〜?お2人さん。」
「本当、周りの目気にしろっての。」
そう、言われて振り向いた。
『由紀、松川…!おはよー。っていうか、イチャついてないって!』
2人は呆れたように言う。
由紀はともかく、松川とはあの日以来会うのは初めてで、その日のことを思うと、少し気まずくて、目を合わせられなかった。
「えーそうかな〜?」
私が否定しても、由紀をニヤニヤと笑ってくる。
それに少し恥ずかしく思った。
「つーか、珍しい組み合わせだな。」
貴大がそう言って、私も改めて2人を見て感じた。
確かに、よく一緒にいるメンバーだけど、由紀と松川が2人だけってのさあんまり見たことないかも。
「たまたま近くで会っただけだって。」
けれど、松川はたったその日ひとことで片付けたのだった。