第7章 若獅子と不良娘①~優しいひと~
「っ、あんたが私を連れてきたからの騒ぎでしょ!?何落ち着いてんのよー!」
あぁもう、と頭を抱えたくなったが、片手はしっかりと彼と繋がれたままだった。
「ちょっと旦那!!一体何事!?」
遠巻きに集まってきた男の人達を掻き分けて、明るい髪の色をした人がでてくる。
彼は私を見た瞬間、その表情を固まらせ、はぁ、と深くため息をついた。
「……旦那。旦那の女の趣味に口出す気はなかったけど…さすがに犯罪は俺様勘弁」
「犯罪などではござらん!!」
「…いいから。いくら払って連れてきたの」
「佐助!!違うと言っておろう!!」
顔を真っ赤にして怒鳴る幸村を呆れつつ見遣ると、何やら鋭い視線を感じる。
この佐助と呼ばれた人。
幸村と話しながらも、見ているのは間違いなく私だ。
見定められてるような感覚に、背中が寒くなる。
何だか怖くなって俯くと、その視線を遮るように幸村の背中が私目の前を覆った。
「…佐助。この子は某が連れてきた。これからお館様に事情を説明するゆえ、おぬしも一緒に来るのだ」
「…りょーかい」
幸村の言葉に軽い調子で答えた佐助と共に屋敷の主の元へと向かう。