第6章 蒼き竜と虎の娘⑥~恋~【最終話】
「…っ…」
「あっ、ごめん…しみた…?」
私の部屋にやってきた政宗の頬は、明らかに殴られた様子で。
大丈夫だと言う政宗を無理やり座らせて、消毒液の染み込んだ綿を切れた口の端にあてた。
僅かに眉をひそめた政宗を窺えば、再び大丈夫だという言葉が返ってくる。
話し合いはどうなったのか。
なぜ殴られてきたのか。
聞きたいことは、たくさんあったけれど。
殴られたのに妙にすっきりした顔の政宗に、どう聞いたらいいものかと思っていたら、ぽんぽんと頭を撫でられた。
「ちゃんと、話をつけてきた。…いい、家族だな」
「…政宗…」
「…ようやく、お前を手に入れた…」
ぎゅうっときつく抱きしめられて。
想いが溢れて、胸がつまる。
「…まさ、むね…っ」
ぽろぽろと、零れる涙を止められなくて。
そのまま、政宗の胸にすがった。
「…あなたの、そばに…いていいのね…」
「That's right…一生、だからな」
「もちろん…!」
額をくっつけて、顔を見合わせて微笑んだ。
愛しい人と一生一緒にいられるなんて。
なんて素敵で、贅沢な話だろうか。