第6章 蒼き竜と虎の娘⑥~恋~【最終話】
「まだ、ちゃんと言ってなかったな」
「?」
突然の言葉に首をかしげた私に、政宗はスーツのポケットから小箱を取り出して、そっと蓋を開いた。
「ゆき。俺と、結婚してほしい」
現れた銀色に輝く指輪と、真っ直ぐな隻眼。
迷いのない声音に、心をゆさぶられて。
余計、涙がとまらない。
「…俺の妻に、なってくれるか?」
「…はい、喜んで…!」
涙をこぼしながら微笑んだ私に、政宗は穏やかな笑みを返して。
そっと、左手の薬指に指輪を通してくれた。
「愛してる」
嬉しくて、
愛しくて、
幸せで。
言葉にならない想いを、
そっと唇にのせて。
溢れ出る想いを共有するように口付ければ、
焦がれるほど熱くて、
心溶かすほど甘い。
恋の、味がした…。
○fin○