第6章 姫のためなら【丸井ブン太 仁王雅治】
午後の授業をサボった私はなぜか仁王には見つかり、連行されるように帰宅した。
そして、なぜだかこいつは私の部屋まで上がっている。
「なんで部屋入ってきてんのよ」
「そう言いながらお茶も菓子も出すんか」
うちには仁王とブン太のマグカップが置かれている。
連日遊びに来た日にコップ借りるのが申し訳ないとか言って自宅から持って来られた。私物を置くことは申し訳なくないのか。
コンコン
「はーい」
「仁王くん、今日お夕飯食べてく?すき焼きにしようかと思ってるんだけど」
「おぉ!じゃあお言葉に甘えて!」
「はーい!いっぱいお肉入れるわね!」
母よ。語尾にハートが付いてるぞ。
気持ち悪い。
「んで、お前はブンちゃんが好きだったんか?」
「え、そりゃ好きでしょーよ」
「違う。恋愛感情としてじゃ」
「ん?…んん!?ありえないでしょ!」
「きったないのぉ!口に物入っとるまま喋るな!」
「んん…そっちが変なこと言うからでしょう!」
「じゃあなんで怒ったん?」
「…だって悔しくない?
あいつうちらより女とったんだよ?」
「んー…そうなぁ…
んじゃ、俺らは俺らで楽しむか」
「何を?」
怪しく笑った仁王を鼻で笑い、夕飯の時間になるまでグダグダとゆるい時間を過ごした。