第6章 姫のためなら【丸井ブン太 仁王雅治】
「お、ブン太、おかえり」
仁王の目線を追いかけ、なんだかおとなしい赤毛の彼を見る。
「どしたの?
…お腹壊した?」
「なんでだよ!
ちげーよ!」
「んで、女の子はなんじゃって?」
「おー…
それがよぉ…」
どうやら、彼女は丸井くんと付き合いたい、ではなく、丸井くんにお菓子作りを教わりたい、と言ったそう。
まぁお菓子作りが上手でイケメンな丸井くんに教えてもらえたらいいのはわかる。
でも、今までにだって、そんなこと言われたことあるじゃないか。
なのになぜ?こんなモヤモヤした感じの表情をしているのだろう。
「それで?教えるの?」
「…おう。」
「えぇ!?」
「ほぉ…」
いつも断っていたのに。
「なんで!」
「なんでってだって別に断る理由ねーし
もう俺ら引退して暇じゃん?
だからいいかなーって」
「…ーーーー?」
「え?夢子、もう一回言って?」
「どーせ顔が可愛かったからだろ!」
「え、ちょ、夢子!!」
なんかすごく悔しかった。
そうだよ、引退したから暇になったから私とも遊べるぞって、楽しそうに言ってたじゃん。
なんだよ。結局友達より女かよ。
盛った猿め。
お前なんか〇〇が××てーーれてしまえ!