第1章 君が一番【ジャッカル桑原】
「あんた本当に桑原のこと好きね」
「好きよ?」
「なのになんでそのカップケーキ、自分で食べてんのよ?」
「…ね。」
呆れ顔でこちらを見ているのは友達の天野ゆき。
今日は家庭科の授業でカップケーキを作った。もちろんその他も主食の親子丼とかすまし汁とか作ったけど…
カップケーキを持ち帰って食べたい人はラッピング用意したから持ち帰りなさい、という先生の一言で女子のほぼ全員はラッピングをした。
そして、テニス部レギュラーへ渡しに行くのだ。
だから今、ジャッカルは、運び屋になっている。
私も渡したかったけど、誰に渡せばいいんだ?とか聞かれたら、落ち込む。そこらへんの豚にでもあげといてくれとか言ってしまうだろう。
豚を肥やすのは私の仕事ではない。