第5章 乙女と姫と【金色 小春】
のろのろと着替えを始め、重く感じるドアをゆっくりと開けた。
とりあえず、金色くんが開けたそこにいなくてホッとする。
しかし、手を洗おうと洗面台の方に向かうと人影があり、ニコッと笑って手を振られた。
いやいや、だから女子トイレ
「ズボン、ちょうだい?」
「え、やだよ!私が洗うから!」
「薬が効くまで寝てなさい!」
「じゃあ持って帰る!」
「すぐ洗わないとシミになってまうで!
落とすの大変やろ!」
「だからってなんで金色くんにやってもらわなきゃならないのよ!」
生理でイライラしてたからなのか、つい声を荒げてしまった。
「あんなぁ…ちょ、大丈夫?」
声を張ってまた貧血でふらっとして、また金色くんに支えられて
「…ごめん」
グズッと鼻がなる。
「ちょ、あんた何泣いてんねん」
「生理中は情緒不安定になるの!」
「わかったわかった、わかったからおとなしくしてなさい」
グラっと視線が揺れ、お姫様だっこの形になる。
「うぇ!?お、おろして!」
「だから!おとなしくしてなさい言うたやろ!」
「で、でも!」
「保健室までやから」
保健室につき、ベッドに降ろされる。
いつの間にか汚れた体操服は金色くんの手にあり、ズボンの下に敷かれていたスポーツタオルも無くなっていた。