第5章 乙女と姫と【金色 小春】
「ん…」
「あ、起きた?」
「え…あ、金色くん?」
「あ!ええよぉ!休んでて!」
ほんま驚いたわぁ〜
急に倒れてもぉてぇ〜
と、まるで近所のおばさんのように私に話しかけながら水の入ったコップと頭痛薬を持ってきてくれた。
「え…」
「くすり。飲める?」
「…ありがとう」
「それ飲んだら、下脱いどいてな」
「????」
金色くんの一言に今まで感謝の言葉しか浮かんでいなかった頭にはてながいっぱい浮かんだ。
下…?
ズボン…?
布団をめくって、見ると、ズボンの下にはスポーツタオルが敷いてあり、そっとズボンのお尻を見てみると、血がたくさん漏れていた。
「ええ!!!うそ…」
「とりあえず飲んで。そしたらトイレ行って、脱いだらそれうちにちょうだい」
「え、いやいや、私、洗うし…」
「ついさっき貧血で倒れた子がなに言うてんの!はい、これも渡しとくな」
渡されたものは夜用のナプキンと制服。
「…薬といい、な、ナプキンといい、なんで金色くん、持ってるの…?」
「女友達多いんよ。気持ち悪いやろ、早よ着替え」
とりあえず薬を飲み、保健室隣のトイレへ駆け込む。
まだ少し気分は悪く、便座に座ったら立つのがとてもダルくなった。
動かなきゃ…
また金色くんに迷惑かけちゃうし…
そう思ってもなかなか重い腰が上がらない。
だめだ…クラクラする
コンコンッ
「うぇ…?」
「平田ちゃん、大丈夫?」
「…え、ここ女子トイレ」
「意識あるならええか。
あ、ゆっくりでええよ」
いや、だから女子トイレ…とツッコむのももうしんどい。
というか…なんかイメージ違くない?
もっとこう女の子口調だったじゃん。
あ〜ん♡みたいな感じだったよね。
ふつーに男の子じゃない?
優しめの男の子じゃない?
あぁ、だめ、気持ち悪い
とりあえず出よう。