第5章 乙女と姫と【金色 小春】
金色くんは坊主頭に細縁メガネで、オネエ口調。
一氏くんは頭に巻いてるバンダナとキツイ目つき、外ハネの髪、口癖は『小春』。
2人とも相思相愛漫才でいつもクラスの中心、いつも周りには人がいて、いつも一緒、いつも騒がしい。
そんな2人とは関われないし、関わろうとも思わない。
でも、2人とは一回だけ関わったことがある。
一氏くんに先生に頼まれてプリントを渡しに行ったことがあった。
声をかけると『あぁ?』と睨まれ、プリントを渡すと『おん』ってそれだけ。
お礼くらい言って欲しいものだ。
もちろん怖くてそんなこと言えないが
その時、金色くんが一氏くんに変わって謝ってくれた。
「ちょっとユウくん!ダメじゃないのぉ!
ごめんなぁ、平田ちゃん。別に悪気はないねん。許してあげて?」
私は頷きつつ、逃げるようにその場を去った。
どう反応していいかわかんないし、とりあえず怖かった。
だからまぁ、男子テニス部なんて興味もないし、むしろ関わりたくないのが私の本音だ。
そんな私は、友達といえばゆきちゃんくらいしかいなくて、でもゆきちゃんは人気者で、正直さっさと卒業したい思いだ。