第5章 乙女と姫と【金色 小春】
2年の2学期というなんとも微妙な時期に東京から引っ越し、大阪の四天宝寺中学校へ転入した私は、未だに大阪人のテンションに合わせられない。
授業中、先生のボケに突っ込むこともできなければ、当てられてボケることもできない。
国語のテストでは、俳句のラスト5文字をオチにしろ…と言われてるわけではないけどしなきゃいけないんだろうな、ってつまり空気を読むと…みたいなところが学校生活のいたるところにあって、ついていけない。
3年に上がり、オチを求めてこない子は1人、ゆきちゃんしか見つからず、あとの人は怖い。
オチを求めてるか男子テニス部を求めてるか、だ。
うちの学校の男子テニス部は強いらしい。
そんなこと聞いただけで見に行ったってわかるわけないと、見に行ったことはない。
まぁ強いだけじゃなく、大阪らしく面白く、そして顔が整ってるらしい。
うちのクラスにいる男子テニス部は、金色小春くんと一氏ユウジくんの2人だ。
この2人、とても苦手である。