第4章 熱と憂鬱【亜久津 仁】
タカちゃんの視線を追って振り返ると、さっきまで布団に潜ってたスウェット姿の仁がズンズンと歩いてこっちに向かって来る。
「ひぇ!!タ、タカちゃん!!」
もう仁の上から湯気が見えるほどに彼が怒っているのが伝わる。
急いでタカちゃんの背中に隠れる。
すると、いつもは私をかばってくれるタカちゃんが、私の肩を持ってぐいっと前に突き出した。
「え!?タ、タカちゃ…じ、仁!?」
目の前に現れた仁はぎゅっと私を抱きしめた。
「てめぇ…熱あるつってんだろーが」
確かに熱い。
でも私自身の方が熱い。
「じ、仁…
大丈夫…??」
「亜久津、熱あったのか。
家まで送るよ。」
「うるせぇ。河村、てめぇは帰れ…
行くぞ」
「…!?ッ!?」
頭がパニックで聞きたいことは山ほどあるのに口からは出てこなかった。