第4章 熱と憂鬱【亜久津 仁】
仁の家に着き、玄関を開け、「入れ」と顎で指示される。
従うがまま中に入り、振り返ると、ずしっと肩に圧がかかる。
「…じ、仁?
熱、高い、や、やばいよ」
「…うるせぇ」
耳元で聞こえた掠れた仁の声は私の知ってる仁の声ではなかった。
そういえば、玄関の鍵開いてた…
「仁…?ごめんね…心配かけたよね…?」
「…あぁ」
いつもならてめぇの心配なんかするかって眉間にしわを寄せ、言われるところが、今日は弱っているからか素直に頷いてくれた。
「仁は昔から心配性なんだからー。
あ、それとも私がいなくなって心細かったのかな??」
「…あぁ」
調子に乗ってからかっても、仁の口からは否定の言葉や照れ隠しの言葉は出てこない。
「…え、仁、本当に大丈夫?動ける?
あ、タカちゃん呼ん…
仁の頭だけでなく、腕も体に回され、ぽすっと仁の胸に収まる。
途端に心臓が暴れ出し、体温も上昇する。
「…じ、仁!
ちょ、ちょっとオープンになりすぎじゃ…!!」
すっと巻き付いていた熱が離れ、唇に集中する。
そして再び熱に包まれる。
「…ぇ」
「うるせぇんだよ、お前は…」
「仁…?」
「熱が上がった。40度くらいありそうだ。
…てめぇが面倒見てくれんじゃねーのかよ」
照れ臭そうに、赤い顔をさらに真っ赤にして私の腕を引っ張って寝室まで向かう仁は、真っ白な髪に真っ赤な顔、耳でまるで鬼みたいだった。
「おかゆ…食べさせろ…夢子。」
でもそんな天邪鬼をとても愛おしく思った。
Fin…
ーーーーあとがきーーーーーーーー
更新遅くなりすみません!!
しかも短めだし!
いや短編なんで短いんですけども!
すみませんでした…
季節の変わり目の温度差に私自身やられて、久々に熱を出しました…
久々の熱ってキツイもんですね…
皆さんもお身体気をつけてください。
ところで、亜久津の弱ってる姿って絶対色気ムンムンですよね。
髪下ろしてる亜久津は絶対イケメン。ひゃーーーー
お読みいただきありがとうございました。