第3章 思い遣り【忍足 侑士】
「なぁ、これ、なに?」
侑士はあの後、もしかしたら自分にあげるものではないかもしれないということに気づいた。
最近のよそよそしい態度や、行為中、集中していないことを思い出し、他にもう、好きな男がいて、その人の誕生日もたまたま自分と近くて…
もうすぐ別れるからプレゼントはいいだろう、という気まずさの顔だったかもしれない、と思った。
聞かれた私は、今朝棚から出しておかなかったことを酷く後悔した。
「なにって…プレゼント?」
「誰への?」
「え、いや、誰って…」
「…俺?」
静かに頷く。
「はぁ〜…」
「…侑士?」
侑士は大きなため息をついてうなだれた。