第3章 思い遣り【忍足 侑士】
〜〜夢子side〜〜
『今日は俺が夕飯作ったから、のんびり帰ってき』
仕事が終わり、ケータイを見ると侑士からそんなメッセージが入っていた。
珍しいこともあるもんだ。
普段は家に着いてからも課題課題の侑士が。
嬉しい反面、不安も大きかった。
「ただいま〜」
「おかえりー」
「わ、いい匂い!」
「せやろ。グラタン作ってみた」
「美味しそう!」
「手洗ってきぃや」
「はーい」
コートを脱ぎ、手を洗ったらリビングに戻る。
「なんかすることある?」
「いや、もう終わりや。
これ、持ってって」
テーブルには、グラタンとサラダとご飯だけだけど、それで十分だった。
とても豪華な、美味しそうなお夕飯だ。
「ん、スープ作ればよかったな」
「充分だよ、これで」
「ほうか」
「ん」
「あのな」
「ん?
ん、グラタン、エビ入ってる!」
「うん。好きやろ、夢子。
…今朝、この棚開けてん」
「………」
嬉しそうにスプーンを進めてた夢子がピタッと止まる。