第6章 演技って大変……
「……で?どこから?」
「あ!ここの告白シーンなんですが……どういう風にしたらいいか分からなくて。」
「なるほどな……」
裕斗君は僕の部屋に来てくれて台本読みを手伝ってくれた。
「まずはやってみてくれ。」
「はい!」
僕は裕斗君の前に真っ直ぐに立ち、台詞を思い出す。
「『僕、君が好きなんです。初恋なんです。』」
「どこ見てんだよ。」
「へ?」
台詞を言った後に即指摘が入った。
「えっと……」
あれ?僕どこ見てたんだろ。
「あのな、お前は告白する時、下見て言うのか?それで伝わるのか?」
「い、いえ!」
下見てたんだ!
無意識に……
「ちゃんと目を見るんだ。恥ずかしいかもしれねぇけど、本当に自分が告白してるって思ってやらねぇと駄目だと俺は思うけど?視聴者に演技だと思わせたらそこでおしまいだ。」
「はい!」
「じゃあ、もう1回。」
目を見て……
え、まって……裕斗君に告白してるみたいになるよね。
僕からしたら本気の告白になっちゃうじゃん!!
変に緊張するよ……
「……瑞希?」
「ぼ、僕!……君が……す、好き……なんです……初恋……なんです……////」
やばい、心臓が爆発するぅ!
「うん、いいと思う。てか、本当に告白されてる気分でちょっと勘違いしそうになった。」
「え!?あ、いや!よ、よかったです!!……?」
誉められた……
「どうしても駄目だった時は、相手を本当に好きな人に置き換えてみろ。」
「は、はぁ……?」
「例えばその次の台詞……俺ならこうする……」
裕斗君は立ち上がり、一呼吸置き……
「『今は無理かもしれないけど……いつかは君を振り向かせてみせるから。』」
柔らかな笑顔で優しく囁くように僕に言った。
「……こんな感じ……瑞希?」
「……は、はひ!////」
僕に言ってるみたいだったから、顔が熱くなって思考停止してしまった。
「大丈夫か?少し休んだが……み、瑞希!?」
目の前が暗くなってしまった。