第5章 好きなんだ
瑞希side
あれから、僕は裕斗くんを避け続けた。
もう顔も見たくない。
そんな気持ちだった。
でも、同じグループである以上、この関係をどうにかしなきゃと思う。
分かってる。
けど、出来ない。
裕斗君が何考えてるのか……それが分かれば苦労なんてしない。
「瑞希ー、ボーっとしすぎ。歌詞間違えてるし!」
真広君から注意される。
「まぁまぁ、瑞希も少し疲れてるんだ。瑞希、ちょっと休憩しようか。顔洗っておいで。スッキリするかもよ。」
「隼也くん……ありがとうございます……」
僕はスタジオを後にしトイレに向かった。
鏡の前に立って、自分の顔を伺う。
ひどい顔……一応アイドルなのに。
笑顔が出ない。
「うぅ。迷惑かけてる。」
明日、歌番組生出演なのに……
その歌番組内で特別企画があるらしい。
何か、ファンの方達の質問に正直に答えるっていうコーナー。
正直にね……答えれるかな?
ううん!やる!
ファンの方達に喜んで貰うため!
こんなギクシャクしてる関係は一旦忘れて集中!!
僕は両手で両頬を叩く。
バチンッ!
「よし!!」
僕は気合いを入れ直しスタジオにもう1度入った。
「もう大丈夫です!お願いします!」
笑顔、笑顔……