第5章 好きなんだ
瑞希side
「ちょっ!////」
裕斗くんは僕の手を引いてドンドン歩いていく。
着いた場所は、以前、裕斗くんが酔って倒れた所だ。
「ここでいい。」
「な、なんなんですか?!////」
僕は裕斗くんの顔をまだ見ることが出来ず背けていた。
「……今朝……何で俺の横で寝ていた?」
……は?
「え、覚えてないんですか?」
「?なんかあったか?」
嘘……覚えてないの?
『好き』って言った後、僕を襲ってきた事を?
なにそれ……
僕……
「ファーストキス……だったのに……」
僕は聞こえないくらいボソボソと話した。
「……ファーストキス?」
何か……ムカついてきた!!
「『好き』って言ってきたじゃないですか?!しかも……その後、無理矢理!!////」
すごく痛かったし、怖かった!
今日だってずっと考えてた!!
「あぁ……そうですよね、覚えてないですよね。だって酔ってたんですもん……」
「瑞希?何言って……」
「今日、ずっと考えたんです!裕斗くんのあの言動の意味なんだろうって!凄く怖くて、痛くて……でも……不思議と嫌じゃなくなって……あぁ、僕も好きなのかなって……思ってたのに!!」
裕斗くんはきっと酔ったら平気で誰にでもあんな事するんだ。
僕は初めてでも裕斗くんはファーストキスくらい既に無くなってるんだ……
「ごめんなさい……先に帰ります。」
僕は裕斗くんを置いて先に事務所から出た。
何で……こんな失恋したみたいな感情になってるんだろう……
きっとこれはただの錯覚……あんな事言われたから勘違いしてるだけ……
恋なんかじゃない……
僕はそう心に呼びかけた。