第4章 初恋
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「だいきー!ボールそっちに行ったぞー!」
「はいよー!」
どこ飛ばしてんだよ……たく……
「うっ……ひっく……」
泣き声?
ブランコに座って1人泣いている子がいた。
足を怪我している。
「お母さん……どこ……」
はぐれちゃったのかな?
「どうしたんだ?」
「誰?」
「……俺は大輝。君は?」
「瑞希……お母さんと買い物していていつの間にか1人になってた。」
「その怪我は?」
「母さん探してる時に転んじゃって……僕……どうしたらいいか……わかんなくって……うっ……ひっく……」
また泣き出してしまった。
俺はその子の目と声に惹かれた。
綺麗な大きな目をしていた。
声は透き通るような綺麗な声。
何故かほっとけなくて、友達には先に帰ると言って瑞希を家に連れていった。
瑞希の指は俺より細くて、女の子の手みたいだった。
家に帰るまでずっと泣いていた。
「ただいまー。母さん、救急箱ー!」
「怪我でもしたの……あれ?その子は?あら、怪我してる。」
「お母さんとはぐれたらしい。とりあえず連れてきた。」
瑞希の怪我の手当は母さんがしてくた。
まだ泣き止まない……
こいつの笑顔が見たい。
そう思った。
「……瑞希!外で遊ぼうぜ!」
そう言って手を差し伸べる。
瑞希は驚いた顔をしたが、「うん」と返事をして手を取ってくれた。