第12章 パズルピース
瑞希side
目が覚めると、裕斗君が手を握って悲しそうな表情をしていた。
「裕斗くん…」
「っ、起きたか。」
「うん…その頬どうしたの?」
ガーゼをつけている。
「まぁ、ちょっとな。」
「…殴られた?」
「あぁ。」
「ごめん。僕のせいで。」
「…気にすんな。」
でも、なんで…?
裕斗くんは何も悪くないのに。
裕斗くんは僕の手を握ったまま俯いていた。
「瑞希…別れよう。」
「え…?なんで?」
そんな言葉が出るなんて思っていなかった。
僕が眠っている間何があったの?
「真広達にバレた。それに、この関係はやっぱり良くない。こうやってまたお前を傷つける。」
「何言ってるの?これは僕が健康管理ちゃんとできてないせいで!」
「…最近、お互い忙しすぎて会う時間もなかった。それでさらにストレスが溜まっていたんだ。食べ物も喉を通らなかった。お前もそうなんだろ?」
僕もそうだ。
裕斗くんと会えない事に不安になっていた。
それで食欲なくなって。
気になって眠れなくて。
「別れよう。」
でも…
「嫌だ。別れたくない。」
「頼む。別れてくれ。」
「やだ…裕斗くん、好きなんだもん。別れたくないよ。」
「瑞希…いうことを聞いてくれ。」
「…なんで…やだよ…」
涙が溢れでてくる。
我儘っていうのはわかってる。
すごく重いってわかってる。
裕斗くんは黙ったまま、立ち上がり、
「じゃあな。」
裕斗くんの手が僕から離れる。
やだ、離さないで…
必死に手を伸ばしたが届かなかった。
裕斗くんは病室から出て行ってしまった。
「なんで…裕斗くん…」
溢れる涙は止まることなかった。
もう、手も繋げない。
キスもできない。
体を重ねることだってできない。
別れを告げられることがこんなに苦しいなんて…