第11章 翔太
「……あれ……ここは……?」
「翔太……目が覚めたか。……病院だ。」
「病院……そっか……倒れたんだ……」
あれだけ休めと言ったのに……
聞かずに仕事をするからだ。
「……はぁ。」
ため息だけを吐き、病室から出ようと立ち上がった。
「……ごめん。怒ってる?」
「は?……」
「いや……何か怒らせちゃったかな?って……」
「……怒ってねぇよ。」
「怒ってるよ!」
「怒ってねぇって。」
「嘘つき……何年親友してると思ってんの……」
「嘘なんてついてないし、どんなに長い付き合いでも分からないことはあるだろ。先生呼んでくる。」
「……そうだね……わかんない。裕斗って前からそうだよね。全然表情に出ないし……怒ってるのかなって勘違いするもん。」
翔太の声のトーンがいつもより低くなっている。
「裕斗、何考えてるかわかんないよ……」
その時は段々と苛立ちが膨れ上がってしまい、「そうかよ。」と冷たく言葉を投げて扉をしめてしまった。
今考えれば、素直に俺が謝るべきだった。
俺が悪かった。
もっと翔太の言葉を聞いておくべきだった。
その日を堺に、翔太との間に壁が出来た。
真広達がフォローをしてくれたが、変わらなかった。
すぐに退院出来た翔太も元に戻ったが、何処か窶れている気がした。
病院からの薬を飲んでいないのかもしれない。
そう思い、こっそりとバッグの中を探ったが、薬などどこにもなかった。
注意しようと声掛けを決心したが、出来なかった。
真広達が代わりに声をかけていた。
だが変わらず、翔太の身体はボロボロになっていった。