第11章 翔太
デビュー曲を出してから、俺らの知名度は莫大に膨れ上がり、番組出演も数え切れない程になった。
休みも学校がある為、全くなかった。
初めは慣れないことも多かったが、それが普通になってしまい、疲れることが減っていた。
ただ、翔太だけは違った。
アイドルという物をし始めた時、翔太は
「皆が俺の歌やダンスで笑顔になってくれるのが嬉しい」
といきいきとしていた。
だが、最近は疲れているようで笑顔が減った。
アイドルが楽しいのは変わってないのは確かだ。
あんなに鳥肌の立つ歌声はもう無くなっていた。
本人は一生懸命だった。
軽い気持ちじゃない事も伝わっていた。
「翔太ー。」
「……。」
「……おい、翔太。」
「え?!あ、ごめん!」
「……お前、ちゃんと寝れてるのか?」
「あー……最近はあんまり寝れてないかも。」
「どんなに忙しくても寝ろよ。」
「うん……ありがとう。」
顔色が悪すぎる。
翔太は人気が高かったため、仕事の量が倍近く違いがあった。
そして、1年も経たずに翔太は倒れてしまった。
過労が原因だった。
食事もしっかりと取らず、睡眠時間も少なかったようだ。