第11章 翔太
「ゆーと♪」
イヤホンをして音楽を聴きながら学校に向かっていると、後ろからイヤホンを外されそう声をかけられる。
「おはよう!」
「おはよう。」
親友の翔太。
小さい頃から仲良く高校も同じ所に入学した。
「お前相変わらず背高いよなー。羨ましい。」
「翔太が小さいだけだ。」
「うわ、なにそれ。すっごい傷ついたんだけど。」
明るくて、元気で……俺の大切な親友。
どんなときも一緒にいた。
「ね!それよりさ!裕斗にいい話持って来たんだけど!」
「いい話?」
「うん!ジャーン!」
そう言って取り出したチラシは『アイドルオーディション』と大きく書かれたものだった。
「……で?」
「うー!もう分かるでしょ!?オーディション!受けたらどうかなって!」
「は?なんで俺が?」
「だって、裕斗顔かっこいいし、歌も上手いし……身長も高いし!合うと思って!」
「お前、アイドル好きなだけだろ。」
「ま、まぁ……それもあるけど……」
「翔太がやるなら俺もする。」
「俺はアイドルが好きってだけで、入らなくていいの!」
「じゃあやらない。」
そう言ってイヤホンを付け直し、また学校への道を歩き始める。
「わー!分かった!やる!俺もやるから!」
またイヤホンを外し俺に叫んだ。
「ならやる。」
正直、翔太の方がアイドルは向いていると思う。
顔、歌はもちろん、勉強だって完璧だ。
それにモテる。
「それより、翔太を待ってる女子が沢山いるぞー。」
「人の事言えないと思うけど!?」
まぁ、身長は確かに平均的に見ると低い方だが。