第10章 忍び寄る影
それからも視線を感じ続けていた。
ライブで都外にいる時以外はずっと気味が悪かった。
学校から家に帰り着き、ポストを開けてみた。
いくつかの封筒の中に1つだけ『瀬田 瑞希様』と書かれた物が入っていた。
白い封筒……中身は触った感じだと手紙?
部屋で確認しようと家の中に入った。
皆は仕事でまだ帰ってきてないようだ。
勉強する前に手紙を開けてみた。
『瀬田瑞希様
あなたの全てが大好きです。あなたのおかげで人生が変わりました。これは私の気持ちです。いつかあなたに会いに行きます。』
何……コレ……
封筒の中にはまだ何か入っていた。
細く黒い糸状の物が何本か……
毛だ……
「うっ……うわぁぁぁぁ!」
あまりの気持ち悪さに頭を抱えて座りこんでしまった。
「瑞希!?どうしたんだ!!」
僕の声を聞いて入って来たのは裕斗君だった。
「裕斗君……こ、これ……」
裕斗君に封筒ごと渡した。
「なんだ……これ……ポストに入ってたのか?」
「うん……」
体の震えが止まらなかった。
変な汗も出てきた。
「そう言えば……最近、非通知から電話もかかってきて……」
「何でそれを早く言わなかったんだ!」
「だ、だって……ただの間違え電話かなって……それに……皆が気のせいだって……考えない様にしてたんだけど……」
裕斗君が抱きしめて、体の震えを抑えてくれた。
「大丈夫だ……必ず何とかしてみせる。」
「……うん……」