第10章 忍び寄る影
ライブツアー1日目が無事終わり、僕達は1度東京へと帰った。
今日は仕事は無いから学校に行く事になっている。
受験生だから頑張らないと。
今年は物凄く忙しくなりそう。
朝早くから起き、学校の準備を整える。
「いってきまーす!」
皆がまだ眠っている静かな家にそう告げ、扉を閉める。
「よぉ!瑞希!おはよう!」
「大輝!おはよう!」
大輝と並び学校に向かう。
……?
違和感を感じて後ろを振り向いた。
何も……ない。
「どうかしたか?」
「え……あ、ううん!気のせい!」
おかしいな……誰かいた気がしたんだけど……
その帰りも……次の日も……学校だけでなく、仕事に行く日でも視線を感じた。
あまりにも気味が悪くて、メンバーに相談することにした。
「視線?」
「はい……ずっと見られてる感じがして……」
その言葉を言った時、真広君が困った表情をし、圭君と隼也君は顔を見合わせた。
裕斗君はただ暗い顔をしたまま下を向いていた。
皆……どうしたんだろ……
「気のせいだよ……気にするなって!」
圭君が口を開いた。
「そうだよ。実際に誰も見てないんでしょ?」
「隼也君まで……そうですけど……」
皆、気のせいだろうと信じてくれなかった。
というか、そうなんだと思い込ませてるようにも見えた。
ただ、裕斗君だけは違った。
「一応、俺も警戒しておく。まだ、何をされた訳でもないから確信出来ないけど、何かあったら助けを呼べ。」
「は、はい。」
心配してくれた。