第10章 忍び寄る影
「こんにちは。今日は来てくれてありがとうございます。」
ファンの子と握手を交わし一言伝える。
「あ、あの!いつも瑞希君の笑顔と歌声に元気を貰ってます!頑張ってください!」
「ほんと!?ありがとー!嬉しい!」
「えっと、その……『好きだよ』って言って欲しいです……////」
「名前は何かな?」
「は、ハナっていいます!」
「……ハナちゃん、大好きだよ。」
「きゃぁ!ありがとうございます!////」
「うん!またね!」
皆が喜んでくれるのを見ると凄く嬉しい。
もっと頑張ろうって思える。
それにしても本当凄い数。
「次の方どうぞ!」
「こ、こんにちは!」
男の人だ。
今日で何人目だろう。
結構男の人も多いな。
「こんにちは。今日は来てくれてありがとうございます。」
「あ、あの!覚えてますか?ラジオでやってた質問コーナーなんですけど……」
「はい、もちろん覚えてます!」
「あの時、瑞希君が答えてくれた質問、僕のなんです。あの日から凄く毎日が楽しくて。本当にありがとうございます!」
あ!あの、僕のファンになって男の人でファンっておかしいのかって質問か!
「いいえ!力になれて良かったです。何かお願い事はありませんか?」
「えっと……名前を呼んで欲しくて……マサノリっていいます。」
「呼ぶだけでいいんですか?」
「はい。」
「えっと……じゃあ……マサノリさん////」
握手している手に力を入れられる。
「いっ……も、もう離してもらっても……?」
痛い……
全然離してくれない。
「あ、あの!痛いです!」
「すみません、それ以上は困ります。」
横から裕斗君が声をかけてくれて、手を離してくれた。
「ご、ごめんなさい!つい……」
「いえ……大丈夫ですよ。……じゃあ、また。」
僕はその男の人に手を振り見送った。
「ありがとう、裕斗君。」
コソコソとお礼を言う。
「……ちょっとイラってしたから。」
………ファンの人に嫉妬ですか……(汗)