第9章 僕の好きな人は……
瑞希side
「っ!瑞希!!」
「裕……斗君……」
裕斗君が駆けつけて来て僕を抱き上げる。
「裕斗君……ごめんなさい……」
「何で謝るんだよ。」
「だって……」
もっと早くに伝えてればこんな事にはならなかったし……
裕斗君との事もバレなかったかもしれないのに。
「俺が早くに気づいてたら、こんなにボロボロには……」
来てくれて嬉しい。
でも、このままじゃバラされちゃう。
「裕斗君……僕、尚哉君と付き合うね。」
「は!?そんなの許すかよ!!こんなにされて!」
「……裕斗君、君が許す許さないとか決めれる立場じゃないと思うけど。メンバー同士で付き合ってるとか……それこそ世間的には許されないんじゃない?」
尚哉君が笑いながら裕斗君に告げた。
「これは瑞希君自身が君を思って決めた事だよ。分かってあげなよ。」
「瑞希……それは本当か?」
「……うん……」
間違ってない。
裕斗君のため……皆の為……
「……またそうやって背負い込むのかよ。そんなの間違ってる。」
「裕斗君?何言って……これは僕がしたいからで……」
「本当に五十嵐の事好きなのかよ。そうなら俺だって口出しはしねぇよ。」
「……そう……だよ。」
「……嘘だな。」
「嘘なんかじゃ!」
「だったら何で泣いてんだよ。笑顔1つ見せずに言う事じゃねぇだろ。本当の事言え。」
本当の事……
僕の好きな人……
それは……
「僕は……裕斗君が好き////」
本当はこれがずっと言いたかった。
言いたくて仕方なかった。
「もう1回やり直したい……////」
もう自分の思いを抑えきれなかった。
裕斗君が大好き。
「……あぁ……やり直そう。」
「うん……////」
僕は裕斗君を思いっきり抱きしめた。
「……そっか……じゃあバラしていいんだね。」
「……好きにしろ……別にどうなったって俺は瑞希を守る。例え周りから叩かれようと、アイドル辞めようと……瑞希だけは守る。」
裕斗君のその言葉が凄く嬉しくて涙が止まらなくなった。
やっぱ裕斗君が好き。
「あっそ……やっぱつまんないな、君は。もっと焦った顔が見たかったのに。……早く帰って。瑞希君も。」
そう言って尚哉君は僕達を家から追い出した。