第9章 僕の好きな人は……
瑞希side
今日は前回のリベンジ!!
絶対1発で終わらせる!!
「瑞希くん、大丈夫?無理しなくてもいいよ?」
尚哉君が僕の元に来て声をかけてくれた。
何とか監督を説得して、ベッドシーンはカットしてくれる様に頼んでくれたらしい。
けど、僕は断った。
……申し訳ないし……
「きょ、今日こそは!絶対にやります!」
「そ、そう?じゃあ……」
カメラの準備も出来たみたいで、僕達にも合図が来た。
「よーい……」
前回と同じ様に台本通りに尚哉君が進めていく。
目の前にいるのは尚哉君。
でも、それを裕斗君に置き換える。
あれ……裕斗君だと思ったら……何か自然と体が動いた。
声も……呼吸も……勝手に……
「カット!OK!」
……終わった……
1発だった。
これでとりあえずは……
「瑞希君っ!」
尚哉君が後ろから肩を叩き、耳元にボソボソと話しかけてきた。
何だろうと耳を傾ける。
「首筋……付いてるよ。」
「首筋?……っ!」
「恋人?(笑)」
「あ……えっと……これは////」
裕斗君!!
何でキスマークなんか!!
あーどうしよ。
「そ、そうじゃなくてですね////」
「いいよ、誰にも言わないし(笑)」
信じていいのかな……
「それに、カメラとは逆側だったから映ってないだろうし……いざとなったら、俺が演出で付けちゃいましたって言うよ(笑)」
「ありがとう……ございます……」
うぅ……尚哉君優しい人ー!
こんなお兄ちゃんが欲しかったよー。