第9章 僕の好きな人は……
瑞希side
最悪だぁぁぁぁ!
裕斗君、酷すぎる。
しないって約束だったのに。
……でも嫌じゃなかった。
久しぶりだから?
だったら相手は誰でもいいって事じゃん!!
僕はそんなビッチじゃない!!……って信じたい……
……裕斗君が好きだから……?
裕斗君が怖いのは事実。
本当に怖かった。
けど、それはあの時逃れるための口実だったのかも。
嘘ついてしまったのかな。
考え直す……
あんな事言わなきゃよかった。
そしたら今頃こんなにピリピリしてなかった。
謝らなきゃ……
ごめんなさいって。
本当は大好き、離れたくないって。
そう決心しながらお風呂から上がった。
急がないと遅刻しちゃう。
「瑞希、朝飯はちゃんと食え。」
「わ、分かってます////!」
裕斗君が朝ご飯を出してくれた。
他の皆はまだ寝ているのかな。
今の内言っておかないと……もう会う時間が無いかもしれない。
「……ゆ、裕斗君……////」
「?」
「そのー……////」
本人を目の前にすると中々話せない。
「瑞希、これ。」
「ん?……何ですか?これ。」
裕斗君がポケットから取り出して、僕に投げ渡した。
音声レコーダー?
再生ボタンを押してみる。
『あっ……////』
!?!?!?
流れてきたのは、僕の声……
あ、喘ぎ声!?!?
「昨日録音しておいたから、参考にでも……」
「わぁぁぁぁ!!////」
僕はレコーダーを真っ二つに折った。
自分でもまさかこんなに力が出るとは思わなかった。
「……まじか……」
裕斗君も引いてる。
「余計なお世話です!!こんなのいりません!!てか録るとかおかしいですよ!!何やってんですか!?////」
「そう……か……」
「もう僕は行きます!////」
荷物をまとめて家を出た。
裕斗君ってちょっとズレてる!!
僕だからまだ良かったけど、他の人だったら絶対引かれてるから!!
僕の悩みを真剣に考えてくれての事っていうのはもちろん嬉しい事だけど……
「あ……謝れなかった……」
家を出て、その事を思い出した。