第9章 僕の好きな人は……
瑞希side
「実は……ベッドシーンなんですが……全然駄目みたいで……」
「一体どんな演技したんだ?」
「自分じゃよく分からないんですが……尚哉君は真顔じゃ駄目だって言ってました。あと……声も出さなきゃって……」
僕の言葉を聞いて、裕斗君が大きく溜息をついた。
なんで?
そんなに?
そんなに呆れる程ですか!?
「あのさ……逆に俺に抱かれていた時どんな感情だったんだよ。わかるだろ。」
「まぁ……でもそれとはまた違います!あれは裕斗君だからであって!あっ……////」
しまった……
勝手に口から出てしまった。
裕斗君だからって……完全に告白みたいな感じになっちゃった……
「……なるほどな。で、相手が五十嵐だから駄目だと。」
「いや、そんなんじゃなくてですね!えっと……その……////」
「今更訂正しようとしても無駄だ。」
「うっ……////」
最悪だ……
考え直すとか言って……結局僕は裕斗君が好きなんじゃん。
もう……馬鹿だ……
「だったら1回やってみるか。」
「へ?!やるって!?え?!////」
「撮影中は五十嵐だと思うが、それを俺と思って演技すればいいだろ。その時に俺の事思い出すようにやっとけばなんとかなると思うが?」
「いやいやいや!!ただ、あなたがやりたいだけですよね?!ちょっ!まっ!////」
やっぱりこの人メチャクチャだ!
何考えてんの?!ほんとに!
ほんとにやる気だし!!
「もう分かりました!!分かりましたから!待ってください!!////」
「?」
裕斗君の動きが止まった。
「あくまでも演技ですから……その……入れるのはやめて下さい。触るだけ……////」
裕斗君が僕を見ながら首を傾げる。
「始めからそのつもりだが……?もしかして期待したのか?」
な!?
やっぱこの人嫌いだ!!
「してないです!!」
「……それは残念だな。」