第9章 僕の好きな人は……
瑞希side
五十嵐さんが車で家まで送ってくれた。
僕は申し訳ない気持ちで助手席に座っていた。
「この曲いいよね。俺の1番のお気に入りなんだ。」
あ……僕達の曲だ。
ボーとしてて気づかなかった。
「聴いてくれてるんですか?」
「うん。最近好きになってね。毎日聴いてるよ。」
「ありがとうございます。」
「瑞希君、学校行ってる?」
「一応行ってます。行く日数が少なくなりましたが。来週から僕も受験生になるんで、進路先とか決めないと行けないんですが中々決まらなくて。」
「そっか……大変だね。」
五十嵐さん、僕を励ましてくれようとしてるのかな。
ずっと話しかけてくれる。
「五十嵐さんは、優しいですね。僕が思っていたままの人でした。かっこいいし、優しいし、人付き合いが上手で……恋人さんは幸せになりそうです。……ごめんなさい、急に変な事言って!」
「ううん。そう言ってくれて嬉しいよ。残念ながら恋人は居ないけどね。……何かあったの?」
「まぁ、ちょっと……」
流石に言えない。
五十嵐さんは誰にも言いそうにないけど、どこで誰が聞いてるか分からないし。
「……恋愛関係かな?」
「へ?!////」
なんで……
「やっぱり(笑)隠さなくていいよ。誰にも言わないから。相談相手になろうか?」
「……嬉しいですけど……流石に迷惑かけれないので。」
「……瑞希君さ、1人で抱え込んじゃダメだよ。いつでも相談相手になるから。」
「ありがとうございます。」
五十嵐さんのその言葉が嬉しくて、少しホッとした。
こんなに優しい人がいるなんて……
「瑞希君、連絡先交換しない?」
「はい、お願いします!」
五十嵐さんと連絡先交換……
何か初めての友達が出来たみたいな時の感じがして嬉しい。
「着いたよ。」
「今日はほんとに申し訳ございませんでした。」
「大丈夫だから。しっかり休んでね。」
「はい。じゃあ、五十嵐さん……」
「下の名前で読んでほしいな(笑)」
「えっと……尚哉さん……」
「くん。」
「尚哉……君……////」
満足そうに微笑んでくれる。
「おやすみなさい。」
「おやすみ、瑞希君。」