第9章 僕の好きな人は……
瑞希side
あの後、圭君達に腕の事が見つかり心配されたが、何とか誤魔化せた。
それから何日も経ち、僕と裕斗君の間には壁ができた。
それが日に日に厚くなっていくのを感じていた。
考え直す……そう言ったけど、別れる可能性が高い。
この状態でより戻すとかできない。
何であんな事言ったんだろ。
自分が苦しくなるだけなのに。
隼也君には何となく僕達のことが分かってるのかもしれない。
詳しい事までは知らないと思うけど、裕斗君と僕の間に壁が出来てるのが感じているのかも。
毎日の様に声をかけてくれる。
嬉しいけど、それだけじゃ当然解決することができるわけがなく……
「瑞希くん?」
「はっ!す、すみません!考え事してて!」
「いいよ。高校生だもん色々悩むよね。」
五十嵐さんと共演映画の撮影に来てた。
今は休憩中で五十嵐さんが隣で飲み物を飲んでいた。
「えっと……何か用でした?」
「あぁ、いいよ!大した話じゃないし!高校生がするような雑談だから(笑)」
「いえ、折角話しかけてくださったのに聞かないなんて!そんなの駄目ですよ!何でした!?」
「瑞希君ってほんと真面目でいい子だねぇ(笑)」
「そ、そんな事ないです!!思ってもない事言っちゃうし!心の中では文句言ったりします!」
「はは、何それ可愛い(笑)」
か、かわっ!?
何処が!?
「そんなの誰でもあるでしょ。大人はそんなもんじゃないよ。笑顔でいても裏ではそんなことなくて、計算して上手く人を利用したり、欲しい物を手に入れるためなら何でもしたりするから。」
「それ……本当ですか?(汗)」
「全員じゃないよ?1部の人間の話♪」
一体誰のことを言ってるのか気になったけど聞かないでおこう。
大人はカッコイイという夢がぶっ壊れそうだ。