第9章 僕の好きな人は……
裕斗side
「おはようございます。」
欠伸をしながら瑞希が階段を降りてきた。
リビングには朝食のいい匂いが漂っている。
「おはよう。」
俺の挨拶を聞いて、一瞬固まった顔をしたが顔を背けながらも挨拶を返してくれた。
やっぱり、昨日の事怒ってるか。
昨夜のことは何となく覚えてる。
うっすらだが。
酒を飲むつもりは無かったが、五十嵐の言葉にイライラしてしまって飲んでしまった。
やけ酒だ。
『あれ?禁酒してるんじゃなかったの?』
『今日だけです……』
『ちょっと、飲みすぎだよ(笑)』
あんたのせいだ。
酒飲まないと約束したのに飲んでしまった。
その後帰ってきて、瑞希の部屋に押しかけたらしい。
隼也に聞いた。
瑞希には謝らないとな。
「瑞希、昨日はすまなかった。」
「何がですか?」
3人の冷たい視線が痛い。
「……夜中に部屋押しかけた上に倒れ込んだ事。悪かった。」
「……それと?」
瑞希が怖い。
こんなに怒ってるのは初めて見た。
許してもらえるのか?
「約束破ったこと……」
「……それから?」
それから?
他に何かしたのか?
くそ……覚えてねぇな。
「裕君、よーく思い出してみな?他に何したのさ。」
「圭……それが思い出さねぇんだ。圭は知らねぇか?」
「俺が知るわけないじゃん。」
瑞希は怒ったまま顔を洗いに行った。
このままじゃ……別れる可能性大だな……
どうにかしねぇと……