第9章 僕の好きな人は……
裕斗side
アクションサスペンスドラマの撮影をしている。
今日は3話目の撮影だ。
W主演で、俺と俳優の五十嵐尚哉(なおや)。
女性から人気の俳優で、実家がお金持ち。
前に翔太とも共演してたことがあった。
「裕斗君、お疲れ様ぁ。」
「お疲れ様です。じゃあ、俺はこれで。」
瑞希に少しでも会いたくてさっさと帰る準備をした。
「え?今終わったばっかじゃん……飲みにいこうよ!」
「遠慮します。予定があるので。」
「……彼女?(笑)」
「…………。」
「え、うそ。冗談で言ったんだけど……まじ?(笑)」
「違います。」
「……つまんねぇの。」
俺はその撮影現場から出て、家に急いだ。
正直、あの男は好きではない。
人のテリトリーにズカズカと入って来るのはあまり好きではないから。
同じグループとかだったらいいが、ただの共演者。
「おっ!おかえりー!裕君!」
「ただいま。瑞希は?」
「さっきまではダンスの練習してたけど……」
「そうか。」
「……何かさ、最近2人とも仲いいね。」
お菓子を食べながら圭が話した。
ソファに座りこっちを向く。
「……普通だろ。」
「……そう?まぁ、仲良くなってくれて良かったよ。初めはピリピリしてる感じだったから。」
「……圭……」
「何?怖い顔して……」
「……夜ご飯前にお菓子食べると真広に怒られるぞ。」
「うっ……い、言わないでよ?」
「言わねぇよ。あと別に怖い顔してない。」
圭との会話を終え瑞希の元へ向かった。