第8章 恋人らしい事
「終わったぁ!!」
「お疲れ、大輝。」
「おー。今から仕事?」
「うん。もうすぐマネージャーが迎えに来るから。じゃあ、明日ね!」
「お前はほんと頑張るな……ぶっ倒れんなよー。」
今日は真広くんとラジオ。
初ラジオ!
生放送だから緊張するけど、真広くんが「俺がサポートするから」って言ってくれて今では少し楽しみだ。
裕斗くんはドラマ撮影でなかなか会えない。
帰ってくるのも夜遅く。
付き合って数ヶ月経つのに……全然デート行ってない。
恋人っぽくない。
何か寂しいな。
最近、不安にもなってきた。
キスはしたけど……それ以上はしてない。
まぁ……お風呂場で色々したけど……あれはたぶん、それ以上の事に入らないと思う。
ただ抜き合いしただけ。
「……なんかあった?」
「あ……いえ……」
「けどずっと暗い顔してるぞ。心配事とかあれば誰でもいいから言えよ?」
「ありがとうございます。真広君は優しいですね。リーダーシップも取れるし、憧れます。」
「……まぁ……もう繰り返したくねぇからな。」
「その、前から気になっていたんですけど……何かあったんですか?過去に。」
「あー……まぁ、ちょっとね。俺ら、前は5人グループだったんだよ。今は居ないんだけど……翔太って奴が居たんだよ。」
「翔太さん……何で居なくなったか聞いても?」
真広くんは少し困ったように眉を下げる。
「ごめん、裕斗に言うなって口止めされてるから。裕斗から聞いて。あまり思い出したくないみたいでさ。確かにアイツが1番辛い思いしてるから。」
「……じゃあ、あまり裕斗くんの前でもその話はしない方がいいですよね。」
「ごめんな。」
「大丈夫ですよ。誰にだって知られたくない事ありますから。」
前に何があったのかは凄く気になる。
でもきっと触れちゃいけないんだ。
このままでい続けるには知らない方がいい。
裕斗くんが僕には秘密にしてるのもそれが僕達StarPieceがいい方向に進む方法なんだ。
僕はそう信じることにした。