第7章 諦め切れない
裕斗side
瑞希は慌てて俺を突き飛ばした。
「瑞希……」
「ほんとに……何考えてるんですか!?」
俺に向かって泣き叫ぶ。
「……悪い……」
「意味わからないです……歌詞だって『君が幸せになれるなら僕はそれでいい』って僕に向けての言葉ですよね……」
「あぁ。」
「つまり僕の事は諦める。そういう事ですよね。なのに……何でキスなんかするんですか!?僕も……僕だって……」
瑞希はその後の言葉は泣き崩れ上手く言えないようだった。
「裕斗君が……初恋諦める理由って……メンバーのため、僕のためって言ってました……」
「……そうだ。」
「なら!諦めないでください!」
瑞希は俯いていた顔を上げ俺に告げた。
「僕のためなら……諦めないでください!!そんな勝手なことしないでください!」
どういう事だ?
これ以上瑞希を傷つけない為には俺の感情を諦めるしかないはずだ。
それを諦めるな?
すると、瑞希は俺の方に歩み寄り力強く抱きしめてきた。
「僕……裕斗君の事が……好きなんです……////」
「……え?」
「裕斗君の事好きだから……もし裕斗君が僕への感情を捨ててしまえば……それは僕のためになりません……僕の気持ちも知らないで……勝手に決めないでください。」
俺のことが……好き?
「裕斗君の行動にはずっと傷ついてるんです。急にキスするとか……酷いですよ……僕をここまで追いかけてきたのも心配だからですよね?そういう行動に困るんです。タダでさえ裕斗君は僕のために自分の感情を捨てようとしてるのに逆に好きにさせる態度取って……」
俺は知らない内にこいつを傷つけてた……って事か?
俺の……こいつのためにしていた行動が裏目に出てたって事か……?
「裕斗君は……ほんとによく分からないです。」
『裕斗ってさ、ほんとに何考えてるかわかんねぇよな。』
アイツの言葉と重なり合う。
「けど……そういう所も好きなんです……大好きなんです。だから……」
瑞希は俺に抱きついたまま顔を上げた。
「諦めなくていいです。……僕と……特別な関係になってください////」
その言葉が俺にとっては危険だという事の反面、嬉しいという思いがあった。
危険かもしれない。
けど俺にはそんな事よりも嬉しい思いの方が勝ってしまった。